今KYBことカヤバシステムマシナリーが建物の地震対策に使われている、ダンパーで検査データの改ざんがあったとして問題に成っています。
改ざんの疑いが有るものを含めると、全国のマンション、共同住宅、事務所、病院、庁舎、などで986件も有ると言われています。
19日に対象となっている庁舎関係を公表しましたが、マンション関係はまだ公表するかどうか、検討中とのことです。
そもそもこの免振装置は高層マンションなどの地震の影響を受けやすい建物用に開発されていますので、多くのマンションがこのシステムを採用している可能性が高いと言われています。
この免振装置の構造について、以下の通り説明されています。

(引用;KYB)
中小地震の場合には、構造上免振装置で揺れを吸収するが、同じダンパーでは大地震には対応できない。
それを大地震にも対応できる様にダンパーで揺れを減衰させる力を大きく取って、建物の揺れを抑える事が出来るように設計している。
このダンパーの検査データが改ざんされているのです。
ニュースで専門家が震度6か7では建物の倒壊は無いと言っていますが、東北大震災の際に東京の高い建物が大きく揺れて、長周期振動の影響が思ったより大きかったことが分かっています。
すると、今回南海トラフと言った大型の地震が来た時に、大阪にある高層マンション群は影響を受けないでしょうか。
東京の場合には東北と言う離れた場所で発生した地震でしたので、まだ問題無かったですが、大阪の場合は南海トラフは和歌山沖ですので、場所的にいれば相当近くなります。
簡単に想像する事は出来ませんね。
倒壊しないまでも、マンションにヒビが入るとか、駐車場が壊れる、とか構造的な問題が発生した際には修復するには大変な費用が掛かります。
大規模修繕費も積立金だけでは足らない恐れがあります。
今回の場合には、国土交通省が速やかに交換するように指示を出していますが、交換するだけで問題無いかどうか、確認を十分してほしい所ですね。
マンションの場合には、簡単に交換出来るような場所にダンパーが設置されていれば問題無いでしょうが、構造的に難しい場合には資産としての価値が下がる事に成ります。
高層マンションの場合には、この前も東洋ゴムの免振装置の検査データに不正があった事が見つかっています。
この様な事が続けば、マンションの価値が下がる事に成ります。
マンションの場合には、新耐震基準が昭和56年に設けられましたので、基本的にはこの基準を満たせていれば問題無いのが、東北大震災でも証明されました。
しかしタワーマンションの場合にはまた別の基準が必要です。
やはり、地震の多い日本でタワーマンションに賃貸マンションをビジネスで購入する場合にはリスクが有ると考える必要があります。
そもそもタワーマンションにあるワンルームマンションの場合には、3000万円を超える物件がほとんどで、これを賃貸で貸すには家賃を高くとらないと赤字に成ります。
シュミュレーションをしてみましょう。
物件価格 3500万円
頭金 100万円
諸経費 60万円
金利 2,75%
借入期間 29年
この場合で、黒字にする家賃収入は、約16万円です。
これで客が付かないと空室期間が長く成れば、それだけ赤字になっていきます。
東京の場合は有名な所では月島や有明とかありますが、いずれも東京都心にはとても近いですから、需要は必ずあるとは思います。
しかし、今回の様な構造上の問題が発生すると、一気に赤字に成る可能性が有ります。
特に言われているのは、タワーマンションを購入した方々も年齢を重ね、いろいろな金銭的な問題も出てくる人もいます。
すると大規模修繕費用も捻出するのは大変な人も出て来ます。
タワーマンションの場合の、大規模修繕積立金とはいくらなのでしょうか。
タワーマンションの管理費は1㎡あたり216円。
修繕積立金は87円
70㎡も平均的なマンションで、
管理費が15,000円
修繕積立金が6,000円
合計 21,000円
これに駐車場代を合わせると、約4万円に成ります。
しかしこれが、経過年数によって変わって来ます。
5年後には約5倍に成るのです。修繕積立金29,400円に成ります。
15年後には、約10倍に成ります。
修繕積立金は6万円に成ります。
これに管理費が加わって来ます。
当初管理費は15,000円でしたので、これは上がっても20,000円と抑えたとしても、修繕積立金と合わせると、いくらに成るでしょうか。
80,000円です。
これに駐車場代が加われば、3万円/月とすると11万円がそこに住んでいるだけで掛かるのです。
ワンルームマンションの場合には、70㎡は有りませんが、タワーマンションのワンルームマンションの広さは広いのが通常で、30㎡有るものも珍しくありません。
すると、修繕積立金は面積に比例すると考えると、約43%と換算すると、47,300円です。
15年目でこれですので、30年、50年、と経過するとどうなるでしょうか。
30年で15年の倍の期間ですので、修繕積立金が倍となると、70㎡の場合で16万円です。
50年では、15年の3倍とすると、70㎡の場合で24万円です。
ワンルームマンションの場合で、50年後には15万円程度です。
これ中古で売れ残っても、だれが修繕積立金をワンルームマンションの場合で、15万円も支払って購入する人がいるでしょうか。
相当難しいでしょうね。
しかもタワーマンションのオーナーで70㎡を持っているオーナーは50年後に24万円も払えるのでしょうか。
誰も買いませんよね。
大規模修繕積立金は払えない人がたくさん出て来て、修繕する事も出来なくなるのでは無いでしょうか。
しかも、タワーマンションの場合には、中国人と言った外国人がたくさん購入しています。
この人たちがこの修繕積立金を払うのでしょうか。
中国ではそもそも修繕積立金と言う習慣が有りません。
払わないで居座る人も出て来るでしょう。
どこに住んでいるか連絡が取れない人も増えて来ます。
そうすると管理できなくなりますね。
ですので、手放す人も増えて来るでしょうし、日本人でも手放す人も増えて来ます。
すると、マンションの価格が相当下落する可能性を秘めています。
その中で、この様な耐震偽造と言った事件が出て、マンションの構造に問題があった場合には、相当敬遠されると思われます。
KYBは1919年創業で、自動車向けショックアブソーバーで世界シェア2位の大手メーカー。今回不正を起こした建物用の免震や制振ダンパーでは国内シェアトップ。
同社のホームページによると、東京スカイツリーの制振装置にも使われているという。
鉄道や航空機向けなどの油圧機器も幅広く製造している。
戦時中は戦闘機「零戦」の主脚部品も製造した。2018年3月期の売上高は3923億円、グループ従業員数は約1・5万人。
データが改ざんされた不適合品の免震用オイルダンパーが使われた物件数(都道府県別)
埼玉 34
千葉 36
東京 222
神奈川 67 (引用;朝日新聞電子版)
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